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HTTP/3 & QUIC 徹底解説 ― 0-RTT と HOL ブロッキング解消で Web を加速する

2025.05.09 by

🚀 なぜ HTTP/3 なのか ―

Web パフォーマンス新時代の到来

HTTP/3 は UDP + TLS 1.3 ベースの QUIC を採用し、
0-RTT ハンドシェイク
HOL ブロッキング解消 を同時に達成。
Largest Contentful Paint (LCP) が平均 15 – 30 % 改善 し、
モバイル回線でも FID が大幅短縮されます。

📜 HTTP の世代と課題

  • HTTP/1.1 (1997)

    キープアライブで複数リクエストを多重化するが、ホイーリーロック (HOL)
    により帯域を活かしきれない。
  • HTTP/2 (2015)

    バイナリ・フレーミングとアプリ層多重で性能向上。ただし
    TCP 1 コネクション = 1 輻輳制御
    の制約が残り、パケットロス時に全ストリームが遅延。
  • HTTP/3 (2022~)

    トランスポートから QUIC に一新。ストリームごとに再送制御し、
    モバイル IP 切替でも connection migration で途切れない。

⚡ ベンチマーク一発比較

# Nginx (HTTP/2) に 1 万リクエスト
$ h2load -n 10000 -c 100 https://h2.example
finished in 19.48s, 513 req/s, 32 MB/s

# Nginx-QUIC (HTTP/3)
$ h2load --h3 -n 10000 -c 100 https://h3.example
finished in 13.71s, 729 req/s, 49 MB/s
プロトコル ハンドシェイク 多重化方式 初回 RTT
HTTP/1.1 TCP + TLS1.2 なし 3-RTT
HTTP/2 TCP + TLS1.2 アプリ層多重 3-RTT
HTTP/3 QUIC (UDP) + TLS1.3 プロトコル層多重 1-RTT / 0-RTT

🆚 メリット / デメリット

✔️ Pros(導入メリット)

  • 0-RTT ハンドシェイク → 初回描画 LCP 短縮
  • ストリーム単位の再送 → HOL ブロッキング解消
  • IP 変更でも接続維持 → モバイル ページ離脱率 ↓
  • TLS 1.3 強制 → 暗号化/プライバシー強化

❌ Cons(導入課題)

  • 企業 FW で UDP:443 が遮断されるケース
  • セルフビルド Nginx は quiche or aioquic パッチが必要
  • アクセスログ解析ツールの h3 対応

🛠️ Nginx-QUIC 導入 3 ステップ

  1. OpenSSL 3 + BoringSSL 互換ビルド
    ./configure --with-http_v3_module --with-quic …
  2. HTTP/3 用 server ブロック
    listen 443 quic reuseport; + add_header Alt-Svc 'h3=":443"';
  3. Chrome / curl –http3 で接続確認
    開発者ツール → Network → Protocol が h3 なら成功

❓ FAQ

Q. Cloudflare など CDN 経由でも効果ある?
あります。エッジ → ブラウザ間が QUIC 化されるだけでも
FCP/LCP が向上し、Origin は HTTP/2 でも OK。
Q. SEO に影響する?
直接のランキングシグナルではないが、
Core Web Vitals(LCP/FID)が改善 → 検索順位に間接的にプラス。

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